
以前から、知る人ぞ知る関節リウマチ薬の発毛効果とは、いったいどのようなメカニズムなのか、とても気になります。
AGA治療薬として認可されている薬も、もともとは毛を生やすために開発されたものではなく、たまたま発毛効果が確認されたものばかり。
別の疾患を治療するため、投薬したところ患者の毛が生えてきたことから、研究したところ、発毛効果が認められたという経緯があり、リウマチ薬である「トファシチニブ」にも毛が生える効果が確認されても、何らおかしくはないですね。
そういった事から、薄毛に悩む人にとっては待望のハゲ特効薬になるのでは?という期待が沸いてきます。どういった経緯で発毛が確認されたのか、また今後AGA治療薬になり得るのか、などを考えてみました!
関節リウマチ薬で毛が生えた報告
エール大学医学部の研究グループによると、自己免疫疾患により円形脱毛症を発症した患者に、トファシチニブ(商品名:ゼルヤンツ)を用いたところ、髪が再び生えてきたそうです。
もともと、円形脱毛症は自己免疫疾患が原因で発症することが多く、実は関節リウマチも自己免疫疾患が原因とされていることから、免疫疾患に効果を示すトファシチニブが、円形脱毛症に効果があることは予想されていた。
その為、自己免疫疾患が原因の重度のアトピー性湿疹の患者に、トファシチニブを用いたところ、劇的な改善が確認できた。といった内容の報告が、医療雑誌に掲載されています。
骨髄線維症の治療薬で毛が生えた報告
参照元:MailOnline
トファシチニブというのは「ヤヌスキナーゼ(JAK)」を阻害する薬であり、骨髄線維症の治療薬として用いられる「ルキソリチニブ」もヤヌスキナーゼ阻害薬。
コロンビア大学の研究チームは、すでにこのルキソリチニブには円形脱毛症の改善効果があることを発表しており、マウスを用いた実験では、10日以内の毛が生え始めたそうです。
JAKとも略されるヤヌスキナーゼとは、炎症を発症させるシグナルに関わっている細胞内に存在する酵素。
要するに、正常な細胞まで攻撃してしまう自己免疫疾患において、ヤヌスキナーゼを抑制すればシグナルの伝達を遮断できるため、炎症が起きない。
自己免疫疾患で円形脱毛症を発症している場合、正常な細胞まで攻撃するシグナルを遮断してやれば、とうぜん改善するのでしょう。
だから、ヤヌスキナーゼ阻害薬であるトファシチニブとルキソリチニブは、どちらでも円形脱毛症に効果を示すのです。
AGA(男性型脱毛症)の効果は?
米国コロンビア大学のクリスティアーノ博士によると、AGA でもJAK阻害薬で改善する可能性はあると話しており、AGAに関しては今後の研究しだいといったところです。
今のところ、AGAの原因は自己免疫疾患ではなく、髪の成長を止めてしまうDHTというホルモンが原因といわれているので、この定説が正しければ望みは薄い。
しかし、AGAのメカニズムがすべて解明されているわけではない為、もしかすると定説が覆る、もしくはJAK阻害薬がDHTの産生にも何らかの影響を与える可能性も。
判らない部分が多い脱毛症ですから、可能性がゼロではないでしょうね。今後の研究に期待したいところです。
こちらの記事も一緒に読まれています
・AGA完全克服まで3年!毛包器官再生に京セラと理研が研究開始!
・なぜ薄毛やハゲになるのか?脱毛は「17型コラーゲン」と判明!